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会社の美少女コンテンツ研究会に参加した思い出

新卒で入った会社はソーシャルゲームの会社で、私はその中でも二次元美少女系のゲームのチームにいた。ある日チームのリーダーから「p-hone君アニメとか好きなんだよね?美少女コンテンツについて研究する会があるんだけどどう?」と言われて「ハイ!!ぜひ!!」と意気込んで参加することになった。

会社という社会的な振る舞いが期待される空間で「美少女のコンテンツ」の話ができるなんて面白すぎるだろうとワクワクして臨んだ。行ってみると5人ほどメンバーがいて、自己紹介をしてもらった。当然といえば当然だがイラストレーター、デザイナーの人が多かった。

最後に私が自己紹介するターンとなった。「好きなキャラっている?これを聞けば大体その人の属性がわかるんだよねw」と質問が飛んでくる。しかしこれは「好きなアニメは何ですか?」という究極の質問 と同じパターンだ。正直に答えるとあのキャラだけど、待て、ここは社会的な振る舞いが期待される空間……と考えが混線してしまう。その結果、ある程度有名なアニメのキャラをいくつか挙げるに終わった(ラブライブ!の園田海未ちゃんとかだった気がする)。すると「うーん、共通項があまりわからない…w」と言われてしまい、なんか、すみません……と謝っていた。

これは一例で、こういう展開は他にも何度もあった。自分の考えでは、美少女コンテンツは「性欲」と切り離せないものがあると思っていてそれって社会性の対極じゃん!言えるわけがないよと口を噤んでしまうのであった。令和の今そんな甘いことを言ってたら清渓川に沈められるかもしれないが。

だが、居心地は悪くなかった。たとえ上辺だけでも会社で美少女のコンテンツの話ができる場があるのはなんだか嬉しくて、参加するのが楽しみになっていた。 慣れてくると思い切って「あの〜自分今期だと『にゃんこデイズ』ってアニメが好みで…w」とか言っちゃったこともあり、「へぇ〜!じゃあ今から見てみますか!」と先輩に言われて会議室に響き渡る「にゃんこデイズ!」の声、every♥ingの歌声。それを真顔で見つめる先輩方、たった2分程度の時間、理由はよくわからないんだけど非常に恥ずかしくなり、それ以降は自分の好きな作品を言うのは封印した。

研究会といっても真剣に分析や批評を行うわけではなく「最近こういうのが流行ってるらしいですね、みんなで見てみますか」といった半分雑談のゆるい会だった。 〇〇が流行ってますが、人気の秘訣は何でしょうね?→よくわかりませんでした!といかがでしたかブログ並の結論で終わる日もあった。まぁ…それはそうで、そんな簡単に売れるコンテンツの法則がわかったらエンタメの会社は苦労しないだろう。

イラストレーター系の人は流行の絵柄をチェックできて役に立っていたのかもしれないがプログラマーの私には仕事に役立つことはなかった。単にアニメとかの話が聞きたくて参加してる趣味勢と化していた。 しかし、近い年代のいつものオタク仲間とは全く違った視点での話が聞けたり、他の部署の人と少し仲良くなれたりして、社内部活動のような……コミュニティとしての価値はすごくあって良かったなぁと思う。

お仕事というのはコミュニケーションではなく技術が重要で〜……という論を昔は盲信していたのだが、扱うものが技術でも複数人で何かを作るにはコミュニケーションがどうしても必要で、それを円滑にしてくれる機会、コミュニティ、それもまた重要であるという考え方に変わってきた。