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ライブイベントの関係者席

ライブイベントにはよく「関係者席」という文字通り関係者のみが座る席がある。 自分もアニメ・声優系のイベントによく行く中でその存在を聞いたことがある。 一般参加している我々には無縁だと思っていたのだが、ある時関係者席に招待してもらえる機会があった(COVID-19が流行る前の話)。

私が労働していた(元)会社は美少女ゲームを作っていて、そのゲームに出演している声優さんのワンマンライブが催されるようだった。 そうなるとゲームの制作チームは関係者であり、関係者席の招待が来たというわけだ。 といっても招待されるのは主に声優さんのお仕事に近い職種…いわゆるディレクター的な人たちで、 自分のようなプログラマーにはほぼ声がかからないのだが、そのときは偶然にも行くはずだった人が急遽欠席で枠が空いてしまい、 「そういえばp-hone君、アニメ・声優とか好きだったよね?招待枠があるんだけど…」という流れでさらっと話が降ってきたのだった。

関係者席…、特段演者さんに近い席ではないが「関係者しか入れない」という特別感はワクワクするものがあった。 うおおおお関係者席でライブイベントに行けるぞ!と当初は一人で盛り上がっていた。

当日、言われた集合場所に行くと会社のディレクターやイラストレーターの方々が待機していた。 そしていよいよ関係者はこちら、という場所からの入場。すると1枚の紙が渡される。 なんだこれ?と見てみるとそこには本日のセットリストが書いてあった。

これには驚かされた。セットリストは事前には知らされないのが当たり前で (次は何が来るかな!?)とドキドキするのもライブイベントの醍醐味の一つだと思っていたから。 でもそうか、もしコンテンツのことを知らない演者のご家族とかが来るのを想定すると 今日はこういう演目でやりますよ、って事前に教えたほうが親切かもしれない。うーんなるほど。 とにかく自分はセットリストを知らないほうが楽しめると思ったのですぐに紙を折って封印した。

関係者席は近すぎず遠すぎずといったまぁまぁな場所にあった。 椅子も一般参加席と変わらず、単純に一区画が関係者用に予約されていた、という感じ。 そして、ライブイベントが始まる。

始まってからも驚きだった。 声優系のライブイベントといえば全員で立ち上がって大歓声で盛り上がり大ジャンプだってするのが日常だが、 関係者席はそうではない!みんな座ったままゆっくりペンライトを振るのみである。

まぁ…普段そういうイベントに行かない演者のご家族や、制作側の年配のお偉方とかも来ることを考えると一緒に飛び跳ねたりするのは確かに厳しい。 しかし、自分は普段から声優イベントの一般参加側として声を上げたり跳ねたりする側なのでそれはもうもどかしくて…。 絶対に声出し禁止!というわけではないが、周りが誰も立ってすらいない中で一人でウォーーっ!となる勇気はなかった。 途中で当時好きなアニメのOP曲が流れ「そり!そりすぎてソリになった!w」って声を上げて手を叩きそうになったけどぐっと堪えたのは忘れられない。

そして終演後。一般参加者にとってはイベントはそこで終わりだが、関係者はまだ終わっていない。 終演後の関係者挨拶?イベントがある。控室のような一室に集まり関係者が順番に演者さんに挨拶をしていく流れだった。 とはいえ、自分は業務で声優さんと直接やりとりする機会は全くないので、挨拶のときは横にいるディレクターにくっついてひたすらペコペコお辞儀をすることしかできなかった。 ディレクターさんは「あっ制作で関わってる〇〇さんがいる!ちょっと挨拶してきますね」と他の関係者さんに丁寧に挨拶をしており、なるほど業界的なお付き合いの場でもあるんだなという理解をした。

以上、関係者席で参加する初めてのライブが終わった。うっかりセトリネタバレを見そうになるし、好きな曲でいつものように高まれないし、挨拶では緊張しながらペコペコするだけで終わったというなんともな感じで終わったが、関係者席での参加がどういうものか知れたのは良かった。

今になって振り返ると、自分は声優を追いかける素質はなかったし、制作側の事情に深入りしたくない性格だったので、たとえ深い関係者になれるチャンスがあったとしてもその道に進むことはなかっただろう。ただ、そういうことに気づけたのもこのような経験あってこそかもしれないし、何事も経験するのは良いことかなと思っている。

ここまで書いて(他に関係者席レポート書いてる人っているのかな?)と気になってWeb検索したら、次の記事がヒットした。

声ヲタは絶対に関係者席に入ってはいけないというお話 - ゲーム屋さんが同人ゲームを作る

推しの声優さんが登壇しても心は上がってもすました顔して腕組みなんかしちゃって見てるだけです。 はっきり言って超辛い。生殺しをイベント中ずっと味わう事になりました。

わかる〜〜〜〜〜〜〜!

上の記事の通り、本当に近しい人だったり、業務で深い関わりがあるという場合でなければ 素直に一般参加でチケットを取って行ったほうがライブイベントは楽しめるだろう。