昔のネットを『美学』として消費する文化
突然ですが画像をシェアします。
https://www.pinterest.jp/pin/84231455515731898/ より。最初の出どころは不明。
これは『Gift〜ギフト〜』というゲームのCGを壁紙にしたWindows Meのスクリーンショット風の画像である。 この画像だけで既に「あ〜“こういう”系ね!」と勘付いた人もいるかもしれない。
アニメ的美少女は必須条件ではない。たとえばこういう画像も同類だ。
これらの画像は一体なんなのか。 これらに共通しているのは ひと昔前の(インターネット周辺の)コンテンツ をテーマにした画像ということである。 これまでの記事でも度々話題にあげていたが、自分は90年代〜00年代のインターネットやその周辺のUndergroundな世界が好きで令和の今でもそれを擦りつづけている。その時代を感じられるような絵やスクリーンショットが大好きで、時々見てはひとりで悦に入ったりツイッターで懐古を始めたりしている。
昔のインターネット好き、自分でも変な趣味だなーと思っていたのだが、ある日ネットサーフィンをしていると面白いものを見つけた。Aesthetics Wiki というWebサイトだ。 Aestheticsとは日本語訳すると「美学」らしくて、ここは美学を集めたWikiとなる。 美学……日本でもあまり聞き慣れない言葉でつまり何のことなのか想像しづらい。その答えがAesthetics WikiのFAQ に書いてあったので機械翻訳したものを引用する。
確立された視覚的トロフィーを持つフィクションのジャンル (例: サイバーパンク、ゴシック) 象徴的なイメージや色彩を持つ祝日(例:クリスマス、ハロウィンなど) 予想される活動、構成要素、人々のタイプがある場所(例:ファンファーレ、アーバンコア)。 ジャケットやPVなどに一貫したビジュアルモチーフがある音楽ジャンル(例:シティポップ、エモなど) これは、すべての音楽ジャンルが存在することを意味するものではありません。例えば、ポップスやオルタナティヴのバンドは、共通のビジュアル的な特徴を持っていません。 ビジュアルが特徴的な時代(例:ビクトリア朝、Y2K) ステレオタイプ(例:ブロッコリー、VSCO) 音楽ジャンルやファッションスタイルを共有するサブカルチャー(例:レイバー、スキンヘッズなど)
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具体例があって助かるがかなり幅広くて結局よくわからない感もある。とりあえず視覚的に特徴がありジャンル化しているものは大抵「美学」といえそうだ。
そして話は戻るが 昔のインターネットを思い起こすような視覚的スキーマもまた、美学のひとつとして扱われている。 Aesthetics Wikiには Old Web の記事があり、上で貼ったWindows Media Playerの画像もそこから引用したものだ。記事を読むとわかるようにWindows 95〜XPあたりのスクリーンショットや当時のインターネットでよく使われていた画像の装飾などがOld Webの美学を彩っている。このOld Webは webcore という呼称もあるようだ。
さらに類似の美学として Animecore というのもある。Animecoreは名前通り日本のアニメ的イラストを対象とする美学のようだ。特徴として少し昔のアニメの引用が多く、webcoreと層が近い気もする。
Google画像検索で “animecore” を検索した結果
これらの「美学」を知れてとても嬉しさを感じている。なぜなら昔のインターネットや少し昔の美少女ゲーム風イラストが好きで、我ながら変な趣味だしこの嗜好をどう表せばいいのかわからないな、と思っていたところに実はそういう嗜好にはWebcoreやらAnimecoreといった名前がついていて上手いこと言語化されていたからだ。これらのワードを軸により多くの情報を得られる可能性も秘めている。
たとえば音楽の世界では「こういう系統の音楽を〇〇と呼ぶ」というふうに言語化がよく行われている印象があるが、視覚的(特に自分の興味範囲のアニメや萌え絵)に関してもそういった「〇〇系」のような括りがもっと整備されてもいいはずだよな、と感じた。実際「ゆめかわ」のような視覚的スキーマを基にしたジャンルは存在するのだが、英語圏のAestheticsほど充実はしてない印象だ。なのでインターネットにおけるAesthetics消費文化は何かと見習っていきたいところである。 こういう発見があるからインターネットはやめられないですね。インターネット最高!
美学、感じていこう。