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萌え豚10年、アニメ実況20年

コミケの記事にも書いたが、何事も長く続けるのは難しい。 ひとつのことを10年、20年、…と継続するのはとてつもなく偉業だと思う。

ところで、『IS<インフィニット・ストラトス>』というアニメがある。

IS<インフィニット・ストラトス> | アニメ動画見放題 | dアニメストア

これは10年以上前の作品だが、放送当時はインターネット(の一部)で話題になり盛り上がった作品だった。 ISはものすごく雑に説明すると、 女の子だけの学園に主人公の男が入って決闘したりラッキースケベしたりした後になんだかんだハーレム状態になる という感じのアニメである(見覚えがありすぎる…と思った人は立派なアニメ博士だ!)。

当時は萌えアニメが急速に増えつつありISもその流れで人気がでたアニメだと思うが、それを快く思わない層もいて「萌え系のアニメなんて認めん!あんなのを見るのは低俗だ!」という考えなのかIS等を楽しんでいる層を「萌え豚」と呼んで揶揄しはじめた1。萌え豚と呼ばれた側は反発する人もいれば、開き直って自ら「ブヒィィィw」と鳴き”萌え豚”の名を全うした人もいた。

そんな流れで、突然流行したコテコテな萌え系アニメを見る若い(?)アニメ入門層を指す意味で生まれた「萌え豚」ワードだったが、 そんな萌え豚が……10年以上萌え豚を続けているとするとどうか? もはや「何も考えずにブヒブヒ鳴くだけのアニメ初心者」ではない、何か明確な意思・覚悟を持った 真剣な萌え豚 といえるだろう。コミケの記事の繰り返しになるが、オタク的趣味をずっと続けるって意外とできないものでなにかのタイミングやライフイベント等でフェードアウトしていくことも多い。10年以上続いてる趣味がいくつあるか確認してみてほしい。特に「萌え豚」のような狭い範囲の嗜好を10年以上となるとやり切る人は少数になってくるだろう。

2022年春アニメの『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』においては往年のラノベ系萌えアニメを思い出させるような展開が見受けられフォロワーさんの次のようなコメントを見て「萌え豚」も10年以上続くと感慨深いものがあるな…とひとり感動していた。

2022年にもなってヒロイン同士の決闘に謎の敵が乱入してくるアニメ見てカラダ中に流れ出すエナジーが止まらなくなってきた https://twitter.com/usamimi_zuki/status/1519331515586383872 ※カラダ中に流れ出すエナジーというのはISのEndingテーマの歌詞の一部

そして、10年でも十分すごいのだが上には上がいるものでアニメを20年以上(!)実況している方とTwitterで出会った。 アニメを20年以上視聴しているだけでもすごいと思うが、その上実況を20年以上となると相当だろう。さらに驚くことに20年間で経験したアニメ実況民の文化の実例や当時の様子を振り返って一冊の本にまでしている!

気付いたら20年ぐらいアニメ実況してた - Melog - BOOTH

アニメの物語についての考察や制作現場についての歴史は多くの情報がある印象だが、アニメを視聴する側の文化(特に2010年以降、それこそ萌え豚とか実況民とか)の歴史が文章化されたものというのはまだまだ少ない。この本のまえがきにも次のように書かれている。

それぐらい長く続いているのであれば、一つの文化として取り扱っても良いのではないか、と考えているのですが、アニメ実況に関する情報をまとめた資料にはあまり心当たりがありません。そこで、無いならば自分で作ってしまえ、とばかりにこの本を書いてみることにしました。

そんな背景のもとこういったアニメ視聴側の文化を本に残してくれるというのは大変素晴らしいことだと思っていて、この本が初めて出されたコミケ99では真っ先に買いに行った。上のリンクから電子版も購入可能なので興味を持った方はぜひ読んでみてほしい。2000年代初頭の2chの実況板から2021年のTwitterによる実況の話まで幅広くカバーされていて面白い。

複数の話題を長々と書いたがまとめると 継続は力なり の一言につきる。 スライムを300年間倒し続けていたらいつのまにかレベルMAXになっている こともあるのだから、アニメ視聴も長年やれば何かが積み上げられる、そう信じてアニメを視聴していきましょう。 歴史的な俯瞰ができるほど積み上がってきたと感じたのならば積極的に文章化していきましょう。

脚注

  1. それ以前から「萌え豚」という呼称は存在していたが、ISのアニメ化付近から急速に広まったとされている https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%90%8C%E3%81%88%E8%B1%9A