p-hone p-hone.info

作り手側のことは知らないようにする

私は日々アニメを見ているが、アニメの作り手側をあまり意識しない。 いや、意図的に意識しないようにしている。

アニメ(に限らず創作物全般)を複数見ているとどんな人達がどうやって作品を生み出しているのか気になる瞬間が訪れる。雑誌のインタビューだったり、スタッフのSNSアカウントだったり情報源はたくさんある。そこを切り口に深堀りをしていくとクリエイターの考えや人柄がなんとなーーくわかってくる。確かにどういう人達が、どうやって作っているか分かって興味深いし嬉しさがある。だが、そこからもっともっとと掘っていくとクリエイターを取り巻くビジネス、業界について気になってくる。「この作品はあの会社がお金を多く出してるからこういう方向になってるんだよねw」なんて話をすると、なんだか”業界通”になれた気がして気持ちいい。(私は作品の裏側の事情も知ってるんだぞ!)という優越感か。しかし、それでいいのだろうか。虚構は虚構だからこそ現実を忘れて没頭できるのが魅力では?作り手にフォーカスを当てると興味の対象が作品から(現実の)人間や社会に変わっていく予感がした。「結局資本主義だから予算と売上がさ〜…」「大人の事情でさ〜…」など…そういう話題が好みなら、政治・経済へ物申したり芸能界のゴシップを追ったほうがいいのでは?……嫌な考えがよぎる、そっち側に倒れるのはなんか違う気がする。そして、作品と作者は切り分けて考えるべきか、そういったことで悩み始める原因にもなる。勝手にクリエイターに幻想を抱いて勝手に幻滅する…なんてしたくない。我儘だけど作者は妖精であってほしい。 そう思い至り、作り手側のことを積極的に探るのを控えるようになった。

しかしまぁ、そう綺麗に作り手側の情報を避けることも難しい。SNSが身近になり作者と読者の距離は昔に比べて近いし、ふとした拍子に目に入る。見えたら見えたで「おっ!興味深い!」となる。知りたくないと言いつつ、良い作品を作ってくれてありがとうございますという感謝もある。近づきすぎず、遠ざかりすぎず、適切な距離感でやっていけたらいいな。とにかくアニメをアニメとして見て、気に入ったら感謝の気持ちも込めてBlu-ray Discを買ったりする。それくらいで。