好きな作家がエロエロに…
要するに、マンガは、欲求の映像的表現をするものだということをいいたいのである。最初のほうで、あなたが、いま、望んでいることをなんでもいいから描いてみるようにといったのは、つまりそれである。
— 手塚治虫. 手塚治虫のマンガの描き方 (Japanese Edition) (p. 18). Kindle Edition.
画風(作風)が好きでフォローした作家(絵描き)さんがいるのだが、 その作風がだんだんと変わっていってエロエロになっちゃったという事が最近あった。 それも1人ではなくて、現時点で確認している範囲だけで3人いる。
フォローした当初はふにゃっとしてカワイイ、癒やし、萌え…といった雰囲気を纏う作風だったのだが、 最近のイラストはそれはもうめちゃくちゃに性行為をしているエロエロイラストに。 これを見て最初は(えーーっ、前の作風のほうが好きだったのになぁ)という感想だった。 でも、その作家を責めることはできないし、もう少し思考を進めると……その作家の気持ちもわかる気がしてきた。
まず、エロエロな絵が悪いとはまったく思わない。私もエロいの大好きだし、人類の多くは本能的に好きなんじゃないかと思ってる。 けどまぁ性的な衝動だけが行動のすべてではないのが人間様のすごいところで、 赤ちゃんや小動物を見て「かわいい」と感じるのは本能的なのかは知らないが、とりあえず「エロい」とは別のベクトルだろう。 いわゆる萌え絵というのは「かわいい」と「エロい」のあいまいな境界を突いて脳に謎の快感を与えるすごいヤツと認識している。
「かわいい」と「エロい」どっちがより好みかは個人差がありそうだが現代社会では「エロい」ものはあまり表に出さないほうがいいって風潮がある。イラストでもそうで、本当はエロいのが描きたくても我慢して他の方向で訴えかける絵描きはいるんじゃないだろうか。
エロはアングラな扱いだが、アングラだからこそ…他者に認められるとめちゃくちゃ嬉しいのである。ある場では気持ち悪い!死ね!と罵倒されそうなイラストが、別の場では「最高です!!!」と言ってもらえるとしたら嬉しすぎる。 だから徐々に内心の欲求に素直になった結果、エロエロ作風になるのは我慢をやめた、つまり、心の解放であり、それで喜んでくれるファンがついてるならもうそれは最高の状態だろう。
作家に直接インタビューをしたわけでもないのになぜそんなに語るのかというと、私もキャラクター絵描きの端くれであり、今回の話題のような悩みを抱えているからだ。私もイラストを描くときは「かわいい」「エロい」の配分をどうするか非常に悩んでいる。そして勇気を出してエロい寄りの絵を描いたらすごいことが起きて歓喜した こともある。いや、お前(p-hone)の絵 すでにエロエロだろ…って思う人もいるかもしれないが、いやいや、まだまだリミッターをかけているのです。本当はもっとXXXで***な絵が描きたい!!It’s soグロテスクなパーツShow it allしたいという気持ちはめちゃくちゃある、でも一方で(お前それはさすがにまずいだろ…)(社会性を捨てる気か?)と反論してくるもうひとりの自分が現れて、脳内決闘が始まるのである。だからエロエロな作風に変わってインターネットに公開まで行った作家さんを見ると(あぁ……打ち勝ったのか、すごいぜ……)と尊敬の念(?)を抱く。
それで、私はなぜ最初に(前の作風のほうが好きだったのになぁ)という感想を抱いたのか? エロいのは好き、好きでも、世にエロエロな絵しか存在してなかったらさすがに胃もたれしそうだし、時にはkawaii…Moe…beautiful…SELF HUG…BIG LOVE…といった感情に浸りたいこともある。そういう枠として認識してた作家さんの絵が気づけばエロエロになっていたということがショックだったのだろう。でも、私はその作家の上司でもなければお金を払っているお客様でもないので静かに手を引くかエロエロ作家の枠に移動して引き続き楽しませていただくか、どちらかだ。