絵師100人展の見方
絵師100人展という展示会がある。 絵師というのは浮世絵師のこと……ではなく、ネットスラング的な絵師、要は美少女イラストを描くイラストレーターによる展示会である。 私はこの絵師100人展に数年連続で足を運んでいる。 このSNS全盛の時代に美少女イラストのリアル展示会を見に行くのはなぜだろう。
我々は日々速いインターネットに生きている。SNSのアルゴリズムにより流れてくるイラストに1秒ほどの判断でいいねを押してスクロール。イラストは瞬時に消費されていく。 一方で、絵師100人展ではスマホをいじることすらできない1。その場に飾られている絵と生身で向き合うしかない。これは現代では貴重な時間でもある。
また、自分以外のお客さんの会話が聞こえてくる。近くにいたグループは語る。この絵はよく見るとここに〇〇の要素が隠れているんだと。この先生は〇〇という作品の作者なんだと。……そうなんだ! と気づかされることも多い。なんと子連れで来ている人もいて、4〜5歳ぐらいの女の子が「私が一番すきなのはね、この子!」と親御さんに話していた。へぇ、この絵が好みなのか、どこを見てそう思ったんだろう? と考えるのもまた面白い。
そして、一対一で絵をじっくり見るとして、何を見ればいいのか。これは今でも悩ましい。普段私が萌え絵を見る時は顔かわいいか? エッチか? ブックマーク!(この間わずか2秒)、はい次〜という消費の仕方をしている。 しかし、絵師100人展は美少女イラストの展示ではあるが、エッチなイラストの展示はほとんどない。 じゃあ……どう見ればいいか、正直わからん。普段からよく知っている作家さんなら、あ、いつものこだわりがしっかり入っている! とか、お、普段とは違う味を出している! と色々味わえるが、知らない作家さんになると感想がむずかしい。普段萌え絵ばかり見ているはずなのに、半分くらいは知らない作家さんだったりする。美少女イラストの世界は広い。
私は趣味でイラストを描いているので、使われている技術を勉強すればとも思ったが、なんだか別次元に凄くて、いったい何を参考にすればいいのやらとなってしまう。でも、スマホもいじれないしデカい絵が目前にあるのだから多少は考える。なぜこのテーマからこのモチーフを思いついたのか、どこがこのイラストの最大の魅力なのか、なぜこの配色にしたのか、など。ぼーっとSNSでエッチな絵を蒐集している時には使わない脳を使っている感じがする。こういうのも結構いいな、と思った。来年もまた行こう。

Footnotes
音声ガイドの操作を除いてスマートフォンの利用は禁止、というルールらしい。私も数年前うっかりスマホを取り出していたらスタッフの方に注意された。 ↩