ほぼ知らない声優ユニットのライブに突然行ったら楽しかった

2021/05/07

ある日、お絵かき練習会の通話中に他のメンバーから「DIALOGUE+っていうやつのライブ行ってみない？」と提案された。少し前にやってた『おちこぼれフルーツタルト』という大人気アニメがあってそこに出演している声優さんがDIALOGUE+のメンバーだったのが知ったきっかけらしい。正直ほとんど何も情報を知らないユニットだし、もちろん行く行く！！とはならなかったのだが、新しいものに触れることは大事だよねって思ってとりあえずチケットを申し込んでみることになった。チケットはあっさりと当選した。

いざ行ってみると超・楽しかった。あれ…？自分には声優オタクになろうとしたけどなれなかった過去がある。それなのになぜ楽しいとか思ってしまったのか？自分でも最初あれ…？となったけどライブが進むにつれてだんだんわかってきた。まず、 雑に、あまり期待しすぎず、気楽にやること。 過去には声優のお渡し会に行って無駄に緊張するだけで終わったなんてこともあったけど、あれはヲタクとして真剣に気合を入れて特定のアイドルを”推”さなければならない、という思い込みが強かったからではないだろうか。一方今回のDIALOGUE+のライブはどうか、曲の予習程度はしたがそれ以外は特に何も情報を入れずに突然ライブに飛び込んだような感じで、とてつもなく雑だ。オタクなら知識量とかけたお金で高みを目指せみたいな考えは一切なしで臨んだ。それが今回はうまくはまったよう感じた。

まず、 いい曲を爆音で浴びると良い。 これは他の何がどうであれ通用する真理だった。有名な作曲家陣が作ったいい曲を、生バンドありでデカいホールで爆音で浴びる、これはコンテンツがどうこう以前にプリミティブな快楽がある。

この感覚は何かに似ているような、とライブ中少し考えた。浮かんできたのは温泉旅行。どこの温泉じゃないと困るとか温泉の成分がどうとかそういった細かいことは考えなくても温泉に入ると気持ちいいというのは常に真だし、帰った後その温泉の歴史を深堀りするわけでもなく、あー良かった良かったでその場は終わる。（そして準備が面倒で誰かに誘われたりでもしない限りなかなか行動に移せないというのも温泉旅行とライブイベントの共通項かもしれない。）

また、DIALOGUE+の曲調、歌詞がさらに良い。代表的な楽曲のいくつかはとにかく明るい曲調と歌詞がつけられている。たとえば、次の歌詞は『はじめてのかくめい！』という曲の歌詞である。

やるじゃん！やるじゃん！やるじゃん！僕たちありえちゃったベイベー不可能はなし　絶望もなしって話でいいんだよな！そうだよな！空も海も愛も夢も神様も作っちゃえば？ほら僕らについてこようぜワクワクてんこ盛りなんだほら僕らについてこようぜ損は絶対させないさ

このやりすぎなぐらい前向きで脳天気な歌詞が、コロナで沈んでいる現代にたいへん効いてくる。（はぁ、最近はライブイベントすらあまり開催されなくなっちゃったし、なんだかなぁ…）なんて思っているところに「不可能はなし絶望もなしって話でいいんだよな！そうだよな！」「ほら僕らについてこようぜ損は絶対させないさ！」ってあまりに刺しにきてませんか？いやーこれはすごい。ちなみにこの歌詞は多分楽曲のタイアップ先アニメである『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです！』も意識していると思う、困難が来ようと超人的能力でTUEEEEして勝ちまくりモテまくり！みたいな呆れるほど前向きな作品なんだけど大星林檎ちゃんっていうCV:日高里菜さんのキャラクターが超かわいくてかわいくて………って話もしたいんだけどDIALOGUE+の話からそれてしまうのでなしで。

『はじめてのかくめい！』だけではない、『人生イージー？』という曲の歌詞もいきなりこんな始まり方である。

がんばって！がんばって！君の時代だ！ Alright 今に挑め！

初っ端からがんばって！がんばって！君の時代だ！なんて言い切られたら（は？何言ってんだ…？）と一瞬なりつつも一周回ってそうだな、俺らの時代だ！！！！！と笑顔になってしまう。こういうDIALOGUE+から溢れ出る「気楽さ」みたいなのが上の方に書いた「雑に、あまり期待しすぎず、気楽にやる」につながってこのご時世とも相まってあぁこれは楽しい！！となったのだと思っている。

他にも、普段ゆるゆるなとこからのギャップが楽しめる『Domestic Force』とか、よろしすぎる『大冒険をよろしく』とか好きになってしまう『好きだよ、好き』とか様々な曲のユニークな振り付けだとか魅力的な要素はたくさんある。声優ユニットのコンテンツ＝中の人に詳しくなって接近して認知を得なければならない、という価値観に囚われすぎずにこういう楽しみ方でもいいんだと気づけたのは大きい収穫だった。ただこんなお気楽でゆるい楽しみ方は運営側からすると真剣に追いかけて継続してお金を入れ続けてくれなさそうな嫌な客かもしれないが、それはまぁ…食わず嫌いをするよりはマシってことで許してほしい。