アニメ『精霊使いの剣舞』の魅力
この記事はクソじゃないアニメ Advent Calendar 2020 - Adventar 20日目の記事です。
『精霊使いの剣舞』というアニメがある。
ファンタジー世界で、女の子しかいない学院に男主人公が転入し、ハーレムを築きながら敵と戦うお話である。こう説明すると「ありきたりなラノベアニメじゃん…」と思う人も多いだろう。 確かにこのような雰囲気のアニメは2015年前後に多く放映され、石鹸枠という愛称(?)がついたほどだ。 こういった背景からアニメオタク達の中でもあまり評価されてない印象がある。
▲1話の冒頭からヒロインの裸をうっかり見てしまい「変態!」と罵られる
一貫した王道性
確かにありきたり…言い方を変えると王道なあらすじのアニメだ。 自分も最初は「テンプレート的なクソアニメっぽいなw」といった印象を持っていた。
しかし、このアニメを観ているとすこしずつ何かが変わりはじめた。 安易なラッキースケベ展開、ちょろいヒロイン達。チープだな〜と最初は呆れていたはずが… 一貫性のある、徹底したチープさ。だんだんと(さて次はどう来る…?精霊使いの剣舞…)と楽しみになってる自分がいた。
気づいたときにはクレア・ルージュちゃんの「変態、淫獣〜〜!!!」という叫び声を聴いて自然と笑顔になっていた。 これはパンツを見せるアニメの記事でも言及したが、創作は高尚なものであるべきという考えから、「こういうのは、こういうのでいいんだよ」へのパラダイム・シフトが起きた時期だったというのもあった。
とあるレビューサイトでは『精霊使いの剣舞』について次のように記されている。
例えは悪いのだがブルーチーズやくさやのような作品だ。匂いを嗅いだ時点で拒否感が出るほどの食べ物、だが、その匂いを乗り越えてしまえば「味」という名の面白さがある。 https://www.animekansou.com/2014/12/bladedance.html
「ひゃん」
このアニメを象徴する言葉といえば、「ひゃん」。 ヒロインのクレア・ルージュちゃんがよく言う台詞で、毎話必ずといっていいほど出てくる。
最初はあまりにひゃんひゃん言うので(おいおい…)と苦笑していたが、 敵に襲われても、悲しいときも「ひゃん」は続く。 ここまで多様な「ひゃん」が聴けると次の「ひゃん」が楽しみになってくる。
この「ひゃん」がかなり興味深かったのでエピソードごとに回数をカウントしてみた。 なんとすべての話に1回以上の「ひゃん」が確認された。平均すると約 2.7hpe(hyans per episode)である。
これだけでも他のアニメでは見られない特色なのだが、さらに「ひゃん」には面白いエピソードがある。 Blu-ray第1巻特典のブックレットのインタビューでこのようなやりとりが。
木戸 悲しんでいるときも、”ひゃん”。
加隈 いろんな”ひゃん”が増えてきたよね。
木戸 なので、楽しんでアドリブとかも自分で出来てっていう。
加えて、『精霊使いの剣舞』の原作者である志瑞祐先生はこのようなツイートをしていた。
クレアの「ひゃん!」も木戸衣吹さんのアドリブでしたが原作に逆輸入。 https://twitter.com/shimizuMFJ/status/1026639551538708481
以上の情報より、「ひゃん」はクレア・ルージュの声優 木戸衣吹さんがアドリブで入れたもの と判明。 アニメの声優さんがアドリブで入れたネタが作品を代表するような言葉にまでなったと考えると感慨深いものがある。
特にこの時期、木戸衣吹さんは2chなどで「売れない作品にばかり出演してる」などと揶揄されていたが、そんな中で『精霊使いの剣舞』に向き合いアドリブを考えたりと工夫をしていたのではないだろうか。 いい話すぎて泣きアニメになってきた。実際、このアニメをきっかけに木戸衣吹さんのファンにもなった。
最後に
「ひゃん」のクレア・ルージュちゃんの他にも魅力的なキャラクターがたくさんいて、特に自分は幼い外見の子が好きなのでエストちゃんがお気に入りだ。なので、2020年2月にエストちゃんのファンアートを描いた。
そしたらなんと原作者の志瑞祐先生にも見てもらえて大変うれしかったし、このエストちゃんの絵を描くために精霊使いの剣舞の原作イラストをじっくり観察したことで「絵上手くなったねー」と知り合いから言われる機会もあったりして…。様々な体験が重なって自分の中でも思い入れが強い作品となった。
他にも曲が良いとかキャラデザが好みすぎるとか色々好きポイントがあるのだが、あまり長文を書いても読む方が大変なのでこれくらいにしておく。
2020年の今…こういったアニメはあまり見かけなくなった。 今こそ『精霊使いの剣舞』を観て”あの頃”の雰囲気を味わってみるのも良いのでは?