Appleと私
私はApple製品がけっこう好きで、iPhone、Apple Watch、複数台のMacとApple製品に囲まれた生活を送っている。 なぜこうなったんだっけ?と思い返すと様々な記憶が蘇ってきたので覚えてるうちに書き記す。
最初はデスクトップカスタマイズからだった。 リンク先の記事にも書いた通り当時はApple Computer製のOSであるMac、特にMac OS Xから採用されたAquaというUIデザインが流行っており、 私もこのガラス風の透き通るような世界観で送るUIに一目惚れしてしまったわけである。
引用元:Apple Aqua: Exploring the Legacy Of MacOS X User Interface | by Nick Babich | UX Planet
しかし、当時家にはWindows XPのPCしかなく小学生の私にMacを買うなんて到底無理で、 フリーソフトを駆使してWindowsの見た目だけでも憧れのMac OS Xに近づける日々を過ごしていた。
そこから数年後、相変わらずWindows XPを使い続けているときにAppleが新製品を発表した。iPodという携帯音楽プレイヤーだ。 その頃知ったのはiPod nano(第1世代)で、Mac OS Xのような美しいデザインを引き継いだいかにもDesigned by Appleな製品だ!
Macと大きく違うのは、PCに比べて格段に低価格というところ。 これなら行けると親にねだってiPod nanoを買ってもらった。 UIデザインの美しさは言うまでもなく、クリックホイールという入力デバイスが画期的で感動したものだった。 このiPod nanoを自慢気に塾に持参し、ゼロの使い魔OP『First kiss』、ニュー速VIP板のテーマソング(?)『7』や、 muzieというサイト(今はもうないか…)で公開されているインディーズ楽曲をよく聴いていた。 小さい画面ではあるが写真を入れて見ることもできたし、ちょっと怪しい細工をすればLinuxを入れることすら可能だった。 この小さい端末の中に夢が詰まっている!そう感じていた。
そこからさらに数年、インターネットがWeb2.0というワードで湧いていた頃。 Appleが今度は携帯電話を出すというニュースが飛び込んできた。iMac、iPodという流れから予想通り名前は『iPhone』だった。 当時まだガラケーすら持ったことない自分にとって最高に魅力的に映った。 ちょうど同時期にSkypeというコミュニケーションツールに登録する機会があり(この機会に新しいハンドルネームを名乗りたいな)と思い、 当時気になっていたiPhoneから取って「p-hone」というIDを取得したことは今も忘れない。
もちろんこのiPhoneを手に入れる作戦を考えた。 しかし、母親が「携帯なんて子どもには必要ない!」という思想だったためとにかく携帯が欲しい!では通用しなさそうだった。 そこで考えた末に「これはPhoneって名前だけど中身はほぼiPodだから」「iPhoneってアプリを自分で作れるらしい、勉強になるかもしれない」などと早口で語りなんとか了承を得た。
iPhone 3Gを手に入れた私は最高にワクワクしていた。Appleのあのデザインが携帯電話と融合したのである。 買ってすぐBB2C(2ちゃんねる閲覧アプリ)を入れた。いつものJaneXenoで見る2ちゃんねるとは全く異なる風景がそこにはあった。 学校にiPhoneを持っていくと「え、なにそれ!?ケータイ!?触らせて!」と言われて照れ照れした。 2ちゃんねるだけではない、手のひらサイズのデバイスの中でピアノが弾けたり、ライトセーバーが現れたり、リバーシが遊べたりするのである。 UIを眺めて、触って、面白いアプリを試して、学生なのに”仕事効率化”アプリなんかも探しちゃったりして、脱獄なるものを知って、…………。 それだけで十分な時間が溶けていった。
ただ、実用性の面でみるとiPhone 3Gはまだまだなところも多かった。iPhoneは携帯でありながらPC向けのWebサイトを開ける仕様だった。 もちろん当時は「スマホ向けサイト」なんてものはない。 そうなるとPC向けのサイトは文字が細かすぎて見づらく、携帯用サイトにはiPhoneからは入れないことが多かった。 携帯向けサービスに登録しようにもキャリアのメールアドレス以外は受け入れられず、i.softbank.jpは仲間はずれ感がすごかった。 3Gと呼ばれる規格の回線ではPC向けサイトの表示は遅く、PCと同じ感覚でサクサクとネットサーフィンはできなかった。 なんならOSの機能も所々貧弱で、最初触った頃のiPhone OSではコピー&ペーストすらできなかったのである。 それでも、そんな短所ですら超えて所有したくなる謎の魅力がiPhoneにはあった。
さらに数年後、大学生時代。「スマートフォン」は誰もが知る言葉となっていた。 しかもiPhoneは日本では大きなシェアを獲得。 Appleのクールさに皆が気づいたのか、ソフトバンクの売り方が上手かったのか何が要因かはわからないが、とにかくiPhoneは多くの人にとって見慣れた製品となった。 もはや「なにそれ!?ケータイ!?触らせて!」と言われることもない。
なぜか残っていたスクリーンショット。嫌儲民・売りスレ民・ラブライバーの三つ揃いでごめん
スマホの話題はこれぐらいにして、大学生になってからはお金を稼げるようになったので、Mac(Macbook Air)を購入した。 OS XのAquaに惹かれてからここまで長かった。Macbook Airを注文して届くまでの数日は毎日帰り道でMacを手に入れた時のことを妄想し続けていた。 届いた日には徹夜でMacの環境を整備した。綺麗にアンチエイリアシングされたフォントを見るだけで心躍った。 この年は深夜アニメとソーシャルゲームに本格入門した年でもあったため、Appleの洗練されたUIに”あえて”萌えアニメを組み合わせることこそがクールだと、そう信じていた、いや、今でも信じてる。
にゃんぱすー
この頃にはもうiPhone/Macはオシャレだけど実用性のない製品とは言わせない出来に仕上がっていた。 アニメを見たり艦これをプレイするだけではなく、UNIX的なシェルが使える情報工学的にも非常に優秀な持ち運び用マシンとして大学生活を支えてくれた。 特にCTF(Capture The Flag: コンピューターセキュリティの技術を駆使して答えを探し出す競技)にのめり込んだこともあり、シェル・フレンドリーなMacは大活躍した。
このスクリーンショット、すべてが2014年すぎる
とはいえ、ここではまだメインPCはWindowsだった。 デスクトップPCのほうが性能は上だし、DTVやPC向けノベルゲームをやっていたこともあって完全移行は難しかった。 社会人になってもっとお金が増えたらiMacを買ってデスク周りを含めて最強のレイアウトを組むんだと日々妄想はしていた。 しかし、お金はそう上手く貯まらずiMacを購入できたのは約5年後、2019年になってからだった。 やっとメインPCがMacとなり、気づけば時計もタブレットもApple製品となり、iCloud、Apple Music、……生活がApple中心になり始めた。
iMacを買った直後に撮った写真
Aqua UIがなくなり、macOSも時代の流れと共にフラットなデザインに変わったが 今でもApple製品のデザインにはなぜか心惹かれるものがある。ここまで来ると理由はわからないが全部良い、宗教みたいなものだ、と自身に言い聞かせて 多少のコスパの悪さや不都合な点にも目を瞑り、仕事でも趣味でもApple製品を使う。 AppleEventがあれば深夜まで頑張って起きては100% recycled aluminumでドカ湧きする。 はぁ〜最近の新しいiPhoneには魅力がない!など不満をたれながら次のAppleEventを楽しみに待つ。 気づけばApple製品を追いかけて15年以上、この気持ちはいつまで続くだろうか。 このハンドルネームを使っている限りAppleから離れられないのかもしれない。