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青海の端へ

2021年某日、運転免許の更新のため東京都品川区にある免許試験場へ行った。 試験場の食堂でエビフライカレーを食べた。うまいけどボリュームがあってお腹が苦しかった。

せっかく普段来ない場所に来たんだし、このまま帰るのも勿体ない気がした。 地図アプリで周辺を見ると東京港埋立地エリアがある。 ふと、その端の方が気になった。自分はRPGでもマップの端に何があるか調べてしまうタイプだからだ。 ゆりかもめ『テレコムセンター』駅の先にある(地図上では)がらんとしたエリアだ。

早速テレコムセンター駅で降りる。 まず近くにコンビニがあった。どう見てもローソンっぽい外観だが、PORT STOREとだけ書かれている不思議なコンビニ。 この時点でちょっと異世界感があって良かった。そこで見知らぬ地へ向かうため、気合を入れるぞ! とレッドブルを購入した。

そのあとは、ひたすら端の方を目指して歩いた。 デカい倉庫的な建物が並び、道路には荷物を運ぶトラックだけが行き来している。 少し遠くに目を向けると海、コンテナ、コンテナ、クレーン、コンテナ……。 自分の日常からはかけ離れた風景で、わくわくしてきた。

しかしずっとトラック以外の動体が見当たらず、他に通行人もいない。ここって本当に一般人が通っていい場所だよね…? と不安にもなった。 不安からか、昼のエビフライカレーが重かったからか、レッドブルのせいかわからないが体調が悪くなってきた。 引き返すことも一瞬考えたが、ここまで来て端を見ずに帰るなんて… と勿体ない精神が勝ち前進を続ける。

なんとか歩くこと十数分、公園が見えてきた! 地図によると暁ふ頭公園というらしい。 公園の先には海が広がっており、ついに端までたどり着いたのかと嬉しくなりなんとなく体調も良くなってきた。 公園に入ると、自転車から降りて海を眺めている人がいる。よく見ると背中に「放課後クライマックスガールズ」とプリントされていて いいTシャツ着てんじゃないかよ、ラブライブ!だろ? ……とは流石に言わなかったけど、こんな場所にもオタクっているんだなぁ、いや、そりゃいるか、ははは……と脱力してそれが妙に心地よかった。

公園でしばらく海を眺め、さて、端を見るという実績は解除したので帰るかと来た道を戻っていった。 帰り際にふと上の方を見ると、コンテナやクレーンがなんだか幻想的に見える。 ちょうど夕暮れの時間帯で、あかね色に染まる空と影のように映るクレーンが妙にマッチしていた。 青海コンテナ埠頭のクレーンは動物のキリンのような形で、まるでサバンナの夕暮れ時を模したようで味わい深かった。

帰りの電車で、あそこってどういう施設なんだろうなぁと気になってきたので コンテナ埠頭の施設紹介|東京港埠頭株式会社 などを読んでいた。 普段の自分の労働や生活では直接関わることのない領域なので、さらっと読むだけでも面白い。 PORT STOREの謎も解けた

こうやって思いつきで現地にアクセスして、そこを起点にして後からインターネットで調べるという活動は面白く、今後も時折やっていきたい。 ……まぁこれは『弱いつながり 検索ワードを探す旅』という本の影響なんだけど。