『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』感想
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ここ数年SNSや2chを見ているとアメリカの政治の話題をちらほら見るようになってきた。 政治なんて基本興味ないスタンスだったけど、一度も知ろうとしたこともないのに避けるのはどうかと思って この本を読んだ。この本を選んだ理由は、2chのどこかでさらっと貼られていたからである。
この本はアメリカの政治の仕組みそのものを解説するのではなく、民衆がどのような考えに動かされているかといった部分がメインになる。よってややこしい仕組みの解説などがなくて読みやすい。 読み進めていくととにかくキリスト教が出てくる。まずこのキリスト教とかいうやつが自分が今まで生きてきた中ではほぼ関わりがなかったやつなので1 はぁこういう教えがベースになっててこういう形で民衆に広がっていたんだなぁと勉強になった。
そしてそこから「反知性主義」というテーマとなる単語につながっていく。 民衆を導く人というのはいい大学を出てあらゆる教養があるものだ、っていう風潮が昔はあったけどそれは違う、たとえいいとこの育ちじゃなくても大衆にわかりやすい言葉で面白くしゃべるような人の方がより多くの人に支持される。という流れになってくる。インテリな人の説教は小難しくてつまらんというのもあるが、一番の理由は権力を持った奴らに支配されるのが嫌だ、というところらしい。キリスト教の教えでは神の前ではみな平等なのだからどれだけ底辺層にも等しく神の救いが与えられるべきだ、アメリカ人はそういう考えが強いみたいで「反知性主義」というのは知性に反するというよりは権威に反しているとのことだ。
これを読むとめっちゃ単純で強い言葉で叫んで世間を騒がすトランプ大統領が生まれた理由もわかる気がしてきた。また、日本でも「上級国民」って流行り言葉があって階級の高いやつが優遇されるような社会は許さん!的な動きがあるのでそれってこの本に書かれてる「反知性主義」と近い気がして面白いなとなった。
脚注
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キリスト教系の大学を出たが、キリスト教的な知識を学んだ覚えがない… ↩