2ちゃんねると過ごした20年は無駄ではなかった
2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)というサイトがある。知る人ぞ知る?匿名掲示板で古くから日本のインターネットに色々と影響を与えてきたSNSともいえる。
おそらく多くの人がイメージする2ちゃんねるは「匿名性を利用して表では言えないような過激な内容を書き散らす危険な場所」という感じではないだろうか。「便所の落書き」や「Welcome to Underground」と呼ばれるぐらいなのでそのイメージはまぁ合っている。 そんなヤバい奴らの集会所みたいな2chと出会って早くも20年が経った。
2chを最初に知ったきっかけはFlash黄金時代とつながりがある。ラサイトというドラえもん+時事ネタ的なFlashを掲載しているWebサイトが好きでよく見ていたのだが、そこに猫のようなキャラクターが時折登場する。それは主に2chで作られたAA(アスキーアート)発のキャラクターたちだったわけだ。そこから自然と2chに導かれ、気がつけば夢中で読むようになっていた。
Flash黄金時代の記事にも書いた通り、子どもというのは親や学校に見るなと言われるようなものを見たくなる性分を持つので「ヤバい奴らの集会所」である2chはそういった需要を満たしてくれる最高の場所だった。か弱いキャラクターを虐待する創作スレ、事件の犯人の個人情報がバラされているスレ……最初はそんなのばかり見ていた。確かにこんな世界に幼少期から入り浸ると人格形成に悪影響を与えそうだ。
しかし、見ないほうがよかった、あるいは見ていた時間は無駄だったかというと……そうではない。少なくとも自分は。
まず、今の職業(プログラマー)は2chに触れてなければ目指すことはなかっただろう。幼少期に2chを見たことでインターネットにのめり込みコンピュータ趣味への適性を自覚できたし、大学受験の記事にある通り、情報工学科に進む決心をしたのも2chがきっかけだ。そして大学入学前にぼっちを煽ってきたのも2ch(まとめブログ)だった。その煽りきっかけに複数のサークル新歓への参加につながった。ニコニコ動画を知ったのも2chから、質アニメという概念を知って視聴したのも2chがきっかけだった。あらゆる箇所で人生の進路のきっかけを与えてくれた2ちゃんねるはもはや3人目の親では……?と思ってしまうほど多大に影響を受けていた。
時代は流れ、2010年代からは主にTwitterに入り浸るようになったため、2chを見る頻度はかなり下がったが今でも時々覗いている。 自作PC、家具家電、DTVあたりの情報はいまでも2chが優秀だったりする(ここ数年のGoogle先生が酷いという要因もあるが…)。
しかし、今の2ch(5ch)を新たに見始めるのはオススメできない。2chの板(カテゴリ)にもよるが、人の多い場所は 未だに荒らし(意味不明な文章やグロ画像の連投等)がいたり、不毛な政治ネタの争いなどが多発しているからだ。 2chの現状を見ると故郷が戦争で焼き尽くされたような感覚があり少し悲しいが、一方で2chって常にこういう立ち位置なんだよなという納得の気持ちもある。2chはいつの時代でも「ヤバい奴らの集会所」であることがアイデンティティなのかもしれない。
2chについてはおそらく多くのインターネット民は「怖そう」「触れたくない」といった所感だろうし、2ch住民自身も半分自虐も込めて「こんな場所来ないほうがいい」と言っているのをよく見るので、たまには2chを見て良かったという文を書いてもいいのでは?と思ってこの記事を書いた。